事業団/プラザレポート

フィンランド報告
内閣府 地域課題対応人材育成事業「地域コアリーダープログラム」

Esteri(エステリ ヘルシンキ市のアクセシビリティ施策でバリアフリーの研究・教育を行う)

 Moi Moi(モイモイ:フィンランド語で「こんにちは」)、相談員の長尾です。
 昨年10月9日〜18日H28年度内閣府青年国際交流事業地域課題対応人材育成事業「地域コアリーダープログラム」フィンランド派遣団(障害者分野)団員としてフィンランドの障害者の暮らしやそれを支える取組みなどを学んできましたのでご報告します。

フィンランドってどんな国?

 フィンランドはサウナ、サンタクロース、オーロラ…でよく知られていますが、北欧(北ヨーロッパ)の一つとして福祉が充実していることでも有名です。ロシアとスウェーデンの間にあり、他国に統治された経験を持つフィンランドは、今年独立100周年を迎えます。国土面積は34万㎢(日本と同じくらい)で、人口は540万人(日本の22分の1)です。
 「会話をする時、内向的なフィンランド人は自分の靴を見る、社交的なフィンランド人は相手の靴を見る」というフィンランド人を表すジョークがあります。派遣コーディネーター曰く、正直であり、大げさな表現はしない。表情が少なく怒っていると勘違いされるが、会話の沈黙も気にならない穏やかな国民性だということです。

障害者の暮らしを支える取組み「FOR ALL」

 「Accessibility For All」「Culture For All」など「FOR ALL」と名のつく取組みが多くありました。まだ少ない状況ですが、街中には横断歩道から歩道に上がる場所に車椅子ユーザー向けのスロープ状の部分と視覚障害者向けに段差が確認できる部分がありました。障害者だけでなく、「すべての人のため…」として、より多くの人へのバリアフリーに向けた取組みと感じました。

障害者の暮らしを支える「パーソナル・アシスタンス(PA)制度」

 2009年より施行されたPA制度(障害者サービス法により各自治体に義務付けられた)があります。利用者が自らPA(資格の有無を問わない)を決定して契約を交わします。PAの介助に関わる費用を公的に負担し、障害者が家族に大きな負担をかけることなく、自立生活と社会参加を可能にするものとされています。趣味や社会参加の時間(上限あり)が保障されている部分は日本との違いを感じました。

「障害者の暮らしやすさ〜社会参画に向けて〜」

 障害者と言っても様々です。フィンランドも日本も変わりません。「Nothing about us, Without us(私たち抜きに、私たちのことを決めないで)」で有名な障害者の人権を保障する国連障害者権利条約(CRPD)があります(2014年に日本も批准)。フィンランドの障害者団体や行政の部署のトップには当事者がいました。また障害種別を超えた当事者団体のネットワーク(障害者フォーラム)の活動もあり、CRPD批准に伴い、国内法の障害者サービス法改正につながる大きな成果をもたらしました。制度やバリアフリーなどの社会的な環境を整えることも大切です。そこに障害者の意思決定・社会参画が当たり前に行われるような当事者の活動・支援から人権についても改めて考え、学ぶ貴重な機会となりました。
 Kiitos!(キートス:フィンランド語で「ありがとう」)

雪の多いフィンランドの玄関にある靴の雪落としの道具

団員とお世話になった派遣コーディネーターと通訳さんと一緒に

社会保健省でフィンランドの障害者施策の概要説明

障害者施策の財源の一つになっているスーパーで見かけたスロットマシーン

車椅子ユーザ―・視覚障害者の双方が利用しやすい工夫

ヘルシンキ大聖堂の前で団員と一緒に