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特集

 本学では、2018年度から音楽領域に新たなコース、「声優アクティングコース」を設置します。アニメーションは、現代の日本を代表するコンテンツとして成熟し、海外からも高く評価されています。また、近年ではコミックやアニメーションを原作にした舞台「2.5次元ミュージカル」が大きな人気を博しています。アニメーションの声を担当する声優が、舞台でも同じキャラクターを演じ、声優の可能性が大きく広がっています。「声優アクティングコース」では、声優はもちろん、アニメソング歌手、さらに、2.5次元ミュージカルなど舞台に立つことのできる声優を育成します。今回の特集では、この新しい「声優アクティングコース」をご紹介します。               

声優としての演技力、そして声優が舞台に立つための表現力を身につけます。

 声優アクティングコースでは、声優そしてアニソン歌手として必要な基礎的訓練、発声や滑舌、歌唱レッスン、身体トレーニングを学び、同時に現役のアニメ音響監督による演技レッスンを行います。そして本学のスタジオにて、アニメや外画のアフレコレッスン、ナレーションレッスンも定期的に行い、即戦力となる声優を育てます。
 さらに“舞台に立つ”ためのカリキュラムも加わります。ジャズやヒップホップのダンスレッスン、またポピュラー音楽やミュージカルナンバーの歌唱レッスン、そして「2.5次元ミュージカル」には欠かせないアクションのレッスンも行い、「2.5次元ミュージカル」の創作や公演を経験することも合わせて学べるコースです。

01エンターテインメント業界で役立つスキルが幅広く学べる

他コースとの連携で現代の声優業界のボーダレス化に対応できる視野の広い人材を育成します。

02充実した機材・録音、トレーニング環境を整備

他コースとの連携で現代の声優業界のボーダレス化に対応できる視野の広い人材を育成します。

レコーディングスタジオコントロールルーム

ミュージカルスタジオ

03一般教養も学び、社会で生きるコミュニケーション能力が身につく

選ばれる声優になるために、コミュニケーションはもっとも重要です。専門性だけでなく一般教養も充実しています。

04指導者は声優業界の第一線で活躍する現役音響監督・声優

【教授】平光琢也  岐阜県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒業。1979年、演劇集団円の劇団員に昇格、俳優としての活動を始める。1983年コメディグループ「怪物ランド」としてデビュー。1994年ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」で舞台演出家としての活動を始め今までに約30本の舞台演出を手掛ける。1998年より、アニメの音響監督の活動を開始、「テニスの王子様」「ヘタリア」「図書館戦争」「お願いマイメロディ」など、約40本の番組を手掛ける。尾木プロTHE NEXT、演劇集団円演出部所属。一般社団法人日本演出者協会会員。一般社団法人日本2.5次元ミュージカル協会個人会員。名古屋芸術大学 教授。

【特別客員教授】郷田ほづみ  東京都出身。玉川大学文学部芸術学科演劇学専攻卒業。1982年に声優としてデビュー。1983年から、コメディグループ「怪物ランド」のメンバーとして活躍する一方、声優業では「装甲騎兵ボトムズ」の主人公キリコ・キュービィー役で好評を得る。「HUNTER×HUNTER」レオリオ、「テニスの王子様」井上守など、数々のアニメ作品に出演。洋画、海外ドラマの吹き替えでは、サイモン・ベイカー、ロバート・ダウニー・Jrの声を担当する。近年では、「ひぐらしのなく頃に」や「ぬらりひょんの孫」などの、アニメの音響監督としても活躍。自ら立ち上げた「湘南テアトロ★デラルテ」での舞台公演では、舞台演出も務める。

【非常勤講師】まほろば遊  元宝塚歌劇団 月組 男役(野田秀樹氏 命名) シンガーソングライター/ラジオパーソナリティ/ボーカル講師/朗読講師 作詞・作曲から歌唱、構成、演出、企画など自身でプロデュースする。これまでに3枚のCDをリリース、ライブ、コンサートを企画&主催。 ジャズ、ポップス、キッズ、映画音楽、ミュージカル曲など幅広く歌えるボーカリストとして活躍。ほかにも、学校トーク&ライブ、病院・老人ホーム慰問ライブ、白血病・難病支援の活動を音楽でサポート、東日本大震災復興支援ライブなど社会貢献活動にも力を注いでいる。ラジオパーソナリティとして「音楽と朗読」を中心とした番組で活躍中。

Event Report 声優アクティングコース説明会&アフレコ体験会

非常勤講師就任予定 まほろば遊氏によるリトルマーメイド「パート・オブ・ユア・ワールド」 (Part of Your World) 

レコーディングスタジオでのアフレコ体験会。現役の音響監督である平光教授の指示でスタート

アニメーションはデザイン領域の学生によるもの。台詞の読み方やアクセントなどを丁寧に指示し、本番さながらの雰囲気

普段からアフレコの練習をしていると思われる高校生も多く、平光教授も感心した様子でした

 7月22日(土)に行われた説明会、アフレコ体験会には、多くの高校生が参加しました。2号館中アンサンブル室での説明会では、音楽領域主任の依田嘉明教授が、大学に声優養成のコースが設置されることは中部地区で初めてあり本学にとっても非常に大きな意義があること、声を仕事とする職業の将来性について、説明しました。
 担当の平光琢也教授からは具体的なコースの説明があり、アニメーションで声を当てている声優がそのまま舞台で演じる2.5次元の舞台を例に、舞台に立つことのできる声優が必要とされており、そのことを前提に本学の声優アクティングコースのカリキュラムが組み立てられていると説明しました。
 ボイストレーニング、歌、発声などを担当する、元タカラジェンヌのまほろば遊氏は、リトルマーメイドから「パート・オブ・ユア・ワールド」(Part of Your World)を披露。歌声に会場の空気は一変、うっとりと聞き惚れました。
 説明会の後は、1階のスタジオでアフレコ体験会となりました。予定よりも多くの参加者が訪れたため、全員が参加できるように大幅に時間を延長して行われました。本学学生が制作したアニメーションに合わせて3名ずつ、順番に参加しました。コントロールルームからは平光教授が、実際のアニメ制作現場そのままに指示が出されます。5分ほどの映像ですが、毎回、テストを行い、その後、本番という流れでアフレコは進みました。実際の現場でのマナーに始まり、台詞の読み方、強弱、アクセントなど丁寧に指示し、本番さながらの体験会となりました。

音楽領域主任 教授 依田嘉明

声優以外の部分も総合的に学ぶ

音楽領域主任 教授依田嘉明

 声優について学ぶことのできるコースというものは、数年前からありました。私自身、本校の説明会や高校などに赴いたとき、そういったコースがないのかと聞かれることがしばしばありました。入試においても、音楽総合コースの面接で、本当は声優になりたい、という学生の声を聞くこともありました。そうしたニーズを受けて、社会の需要に後押しされる形ではありますが、設置されるのが「声優アクティングコース」です。設置に向け、実質的に動き始めたのが今年度になってからなので、このように皆さんに発表できる形に漕ぎつけることができて、なんとかここまで来ることができたと一安心しています。
 声優になる、というと専門学校を考える学生もたくさんいるのではないかと思います。専門学校の場合、おそらく一つの専門性については実践的に訓練することができると思います。特化した部分においては、本学でも同じようなことになるかと思いますが、本学の場合、声優という専門以外についても、学んだり、体験することができると考えています。これが、大きな違いです。例えば、実際に声を当てる体験授業を行いましたが、そこで使われているアニメーション、これはデザイン領域の学生が制作したものです。また、劇中で使われている音楽ですが、作曲、演奏、録音もすべて本学の学生によって作ることができます。近年では声優といっても仕事の幅が広がり、舞台に立つことが多く求められています。そうした場合、ミュージカルや演劇のレッスンを受けられることは、大いに役立つことになります。ミュージカル公演を、ミュージカルコース、弦管打コース、エンターテインメントディレクション&アートマネジメントコースといった、他のコースの学生たちと共同して作っていくことができます。声優以外のことも含めてできるということが、非常に大きな糧となるのではないかと考えています。音楽領域だけでなく、美術領域、デザイン領域、芸術教養領域、人間発達学部の学生にもアニメーション好きな学生はたくさんいます。アニメーションや舞台を作ることで、さらに横のつながりが密になり核融合のようなことが起こるのではと、大きな可能性を感じています。

音楽領域主任補佐 伊藤(杉田)孝子准教授(左)、教務学生主任長江和哉准教授(右)。声優アクティングコースで学ぶことのできる発声や演じることは、人とのコミュニケーションに大いに役立つ技術。実際に、まほろば遊氏が行っている発声の講習は、一般企業の方も数多く受講するとのこと。声の仕事だけに限らず、社会で役立つスキルが習得できる

アフレコ体験で使われたアニメーションは、本学デザイン領域の学生の手によるもの。今後、サウンドメディアや演奏、ミュージカル、美術、リベラルアーツなど、さまざまな領域との連携が期待される

声優アクティングコース 教授 平光琢也

日本のアニメ、コミックは、世界に胸を張っていけるもの

声優アクティングコース 教授平光琢也

 オープンキャンパスで、3時間にも及ぶ本番さながらのアフレコ体験講座を終えたばかりの、平光教授にお話を伺いました。

多くの高校生が実習に参加してくれました。あれほど長くアフレコ体験を行うとは思ってもみませんでした。

 やっぱり一人ずつにちゃんとやってあげないといけないですからね。テストをやって、本番をやってという、まさに現場そのままのやり方です。参加しているのが高校生かプロの声優かの違いだけで、慣れているかいないかの差だけです。僕の方も全くいつもと同じやり方でやっています。皆、楽しそうにやってくれましたね。良かったです。

声を当てていたアニメーション、学生の作品なんですね!

 普通は、こういうときに使うものといえば、何か探してこなければいけないわけですが、結構、手間がかかって、なかなか手に入らないものなんです。それで、DVDなどリリースされているもので許可を取ってやるものなんですけど、それを美術領域やデザイン領域の学生が作ってくれる。今日は一部分ですが、本編が30分あり、なかなかいいストーリーになっていて感心しました。

依田先生に伺ったら、西キャンパスでも声優アクティングコースができることを気にしている学生がいると聞きました。

 何をやりたい? 声もやりたいんですか? 今は、本当にそうなんですよ。若手の、バンドで音楽をやっている人達が、声もやりたいといっています。ジャンルがクロスしてきていますよね。僕が、この大学で教えることになったときも、学長から縦割りではなく横のつながりをなんとかして欲しいと、いわれています。
 2.5次元の舞台を考えていますが、ミュージカルを生バンドでやれる。音楽領域の学生と共同で実現できる。そんな豪華なミュージカル、なかなかできるものじゃないですよ。声優の方でいえば、 美術領域の学生がアニメーションも作ってくれる。そして、2.5次元ミュージカルで最近流行っているのが朗読ミュージカル。俳優が台本を持って朗読するんですけど、そこに生バンドがいて、なおかつ、パフォーマンスで大きいキャンバスに絵を描いて、なんていうことができます。音楽、美術、デザインが一緒になって何かを作っていくことができる。考えただけでワクワクします。

ボーダレスの成果ですね。

 実際のところ、僕がこの大学に来てまだ半年、つながるといってもピンとは来てないんですよ。例えば、音楽を作曲して欲しいなと思っても、誰に頼んでいいのかわからない。でもそれが上手くできるようになっていくと、全員で一緒に作ることができます。ほかの大学では、 なかなかできないことですよ。とりあえず来年に向かって、まずは生バンドで一本2. 5次元の朗読劇を作ろうと考えています。そしていずれは、 まだ誰も手を付けていない原作を探して、ちゃんと著作権を押さえて、2.5次元のミュージカルをやりたいと思っています。しっかりとお金をいただけるクオリティのもの、興行として外に向けて発信できる内容とクオリティ、そうした2.5次元ミュージカルを実現させたいと思っています。

今回、高校生たちがアフレコ体験を行いました。また、今期、アクティングの講義などされているわけですが、学生の様子はいかがですか?

 皆、上手いですね。家で、いろいろ練習してるんだと思います、TVの音を消して映像にセリフを当ててみたりしてね。今日は、まだレッスンといっても体験講座なので演技に対して指示していませんが、声優の基本はハートなので、そのことをしっかり伝えていきたいと思っています。口先だけでやってるとすぐわかっちゃいます。口先だけで声を変えていくというのでは、胸を打つものにはなりません。最初は地声でやって、自分の中でいい声を作っていく、そういう基本的なことからやっていこうと考えています。
 授業に関しては、思ったよりモチベーションがありますね。大学だからモチベーションが、うんとある人とそうでもないような人に分かれるのでは思っていました。専門学校にくらべてどうかなと思っていたんですが、皆、モチベーションが高いです。ただ、そんな学生達に対して、 僕はアニメの音響監督と舞台演出の仕事が専門なので、 それ以外の照明や音響、コンサート演出などを志望している生徒達もいる中、 どう授業をしていけばいいか戸惑う事もあります。でも、 そういう学生達にも、台本を渡して自分が演出家になったつもりで、どんな衣装でどんな装置でやるかを書いてきてという課題を出すと、1週間後に完ぺきにやってきてくれます。かなりしっかりした装置プランを作ってプレゼンできるようにしてきてくれて、とても感心しています。
こうしたこともあって、横のつながりの部分にしても、号令一下かけてしまえば、しっかりやれるんじゃないかなと、期待しています。

卒業後の進路についてはいかがでしょうか?

 今、2.5次元の世界では、東京オリンピックに向けて海外からもお客さんがたくさんやってくるので、そこを一番のピークにもっていこうという流れがあります。ブームというといつかは下がってしまいますから、あまりブームといいたくないんですけども、海外からも大きく注目されています。そうした流れからすると、とりあえず4年後辺りはスタッフも足りなくなるだろうし、アニメ系、エンターテインメント系の人材が必要になるだろうと予想しています。これから大学に入る人、現在大学の学生たち、卒業後は東京に来れば仕事があるよと説明しています。それ以降については、まだ見えているわけではありませんが、優秀な人たちがアニメ界に集まっています。僕が若い頃は、インテリや才能ある人たちは演劇界に集まっていました。今は、アニメです。内容の深さ、テーマがあって、哲学や宗教的なものもアニメやコミックの脚本に入っています。日本のアニメ、コミックは、世界に胸を張っていけるものだと思っています。そうしたものを支えていくこと、名古屋芸術大学がエンターテインメント界に対してこういうことをやっているんだと、しっかりアピールしていかなければならないと考えています。