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人間発達学部主催 特別公開講座 今井和子氏「遊びが育む豊かな学びとことば」を開催しました

9月23日(土)、ウィルあいち 愛知県女性総合センターにて、人間発達学部が主催する特別公開講座、今井和子氏による「遊びが育む豊かな学びとことば」を開催しました。会場には、人間発達学部の学生をはじめ、卒業生、幼稚園、保育園、子ども園などで保育の現場に携わる多くの皆さまにご来場いただきました。

公開講座は、久保博満准教授が進行役を務め、星野英五学部長の挨拶で始まりました。人間発達学部の歴史と教育理念を紹介し「本日の講座は、日頃、取り組んでいることを振り返るのに大きな意味を持つことになると思います。明日の保育と教育のお役に立てれば幸いです」と口上を述べました。
続き、豊田和子教授から、講師の今井和子氏の紹介がありました。今井氏の保育現場での経歴に加え「子どもとことば研究会」(http://www.kotobaken.ecnet.jp/)の代表を務めていることを紹介し、「20数年間の保育現場での実践、さらに、20数年間の大学での教鞭と、実践と研究を長く手がけられてきました」と説明しました。

講座は、子どもたちに接するとき同じような、今井氏の爽やかでわかりやすい口調が印象的でした。核家族化、少子化、IT革命……、これらにより人間関係の在り方が変わり、子どもたちの生活に大きな影響を与えていること、とりわけ、親と子の人間関係が変わってきていると説明します。「国連から見た日本の子どもの権利状況」を引き、日常会話が少なくなっていることを憂い、レフ・ヴィゴツキーの「人間の思考は、幼児と両親の間で交わされる対話の相互作用の中から生まれる」という言葉を紹介し、会話の重要性を話しました。「子どもとことば研究会」により集められた子どもたちの言葉をいくつか紹介し、近年では、こうした子どもの心の動きを表現したような言葉を集めにくくなってきたように感じます、と説明します。さらに、日本の子どもの自己肯定感の低さを紹介し、それは豊かな遊びを経験していないことが大きな原因になっているのでは、と警鐘を鳴らします。夢中になって遊ぶことが自分らしさを育み、そして個性を発揮することができるようになり、そのことが自己肯定感を育てると説明します。実践の記録として「よっちゃんとコロコロうんち」のエピソードを紹介し、大人が子どもの興味に共感し、子どもが好きなことに熱中することで本来の自分を現し、意味を持った行為へと発展していくことになる、と説明します。
さらに、遊びが生きる力を養う理由として、“面白い”に夢中になることで集中力が養われ、興奮を持続させる遊びが大脳を活発化し、脳の前頭前野を発達させることにつながると説明します。脳の発達に伴い、行動を抑制する力も付き、自分をコントロールすることができる人間へと成長し、いわゆる、キレやすい子どもやいじめをする子どもではなくなると説明します。また、遊びの中では、自分の思い通りにならないこともあり、社会的経験やさまざまな感情を体験することになり、そのことがコミュニケーション力を養うことにもなると説明。安全保育の考え方について、子どもに怪我をさせないことを優先しすぎて、リスクに挑戦するという行為の芽を摘んでしまっていないか、と問います。遊びの中で、失敗や葛藤を繰り返すことで、それを乗り越える生きる力を養っていくと説明しました。こうしたことを、実践記録の映像を見せながら、「子どもの動きを線として見ることで、目に見えない心の動きを観ることができる。心の動きを観察することで、子どもの本当の願いを知ることができる」と話しました。
「指導計画の狙いは、子どもと保育者の願い」であり、保育者は仲立ちとして、発達の壁の代弁者となる仕事。そこで子どもとつながる信頼関係こそが、保育の仕事の醍醐味だと説明し、講義を締めくくりました。

講義後の質疑応答では、幼稚園の園長先生や保育所の先生から「安全保育の在り方について非常にいい学びになりました。親御さんに対してもしっかりと説明していきたい」と薫陶を受けたお礼の言葉や、「子どもを線として観るにはどう心がければ良いか」といった質問が出されました。それに対し今井氏は、「子どもがやっていることと同じ行動を取ってみること、子どもに寄り添ってみること」と回答しました。子どもの行動には必ず理由があり、行動の理由を探してみることが大切なことであり、「困った子ではなく、困っている子」として観て、子どもを肯定的に見ることで、見えて来ることがあると返答しました。
講義の終わりに、学生から花束が贈られ、客席からは大きな拍手が送られました。

「子どもとことば研究会」代表 今井和子氏

星野英五学部長の挨拶

子どもに話すときと同じような柔らかな口調

実践記録「ゴミ収集車のお兄さんに憧れた3歳児たち」

子どもの行動を線として捉えることで、かみつきや乱暴にも理由があることが理解できる 「しんちゃんの乱暴」

ブランコの鎖を外す4、5歳児」 安全保育の在り方を問う

熱心にメモを取る受講者たち

講義終了後、学生から花束を贈られる今井氏

人間発達学部の学生・卒業生、教育現場に携わる多くの方に来場いただきました